寒い季節にピッタリのオリーブオイルを使った温かいお豆のスープ



意外かもしれませんが、イタリアではよく豆を食べます。イタリア人はいつもパスタやピザばかり食べているわけではないのです。

しかも豆と言っても、日本のようなたっぷりの砂糖と一緒に煮込んだあんこやお正月の黒豆、煮豆などの甘い料理ではなく、塩味に料理して普通の食事として食べます。

<h2>豆料理で地中海ダイエット</h2>

イタリアなど地中海沿岸地方の人々が昔から食べていた世界で一番ヘルシーな食事法地中海ダイエットでも、中心をなす食べ物はパンやパスタやお米などの炭水化物と野菜、果物、そして豆類です。

イタリアにはいろんな種類の豆があって、イタリアのどこの地方にも地元の豆を使った郷土料理があるくらい、日常の食事に結びついています。

それもそのはず、豆類には、炭水化物、たんぱく質のほか、豊富な食物繊維に、ビタミンやカルシウム、鉄などのミネラル分をバランスよく含んでいるんです。しかも、脂肪分もほとんど含みません。

お肉や魚が一部の特権階級しか食べられないものだった時代、庶民の大切な食材だったんですね。今では簡単にいろんな食材が手に入りますが、それでも栄養豊富な豆類は、もっと毎日の食事に取り入れたい食材です。

ただ豆の料理は面倒くさいというイメージがあるようです。日本ではお正月の黒豆などの手間暇かかる芸術的なお料理のイメージがあるからでしょうか。

ところがイタリアの家庭料理はいたって簡単。忙しい昔の農家の主婦たちが毎日作っていた料理です。豆料理もとても簡単ですから、一度試してみてください。

簡単な豆の茹で方イタリア風

イタリア料理でよく使うのは、白いんげん豆やうずら豆です。

日本では新鮮な豆を手に入れるのは、少し難しいですね。缶詰やパックに入ったものならスーパーでも売っていますが、すでに味がついていたりします。どうせなら、乾燥豆を自分で茹でたほうが美味しく食べられます。

乾燥豆の戻し方

乾燥豆というと、また難しそうですが、水にひたしておくだけです。戻すのに時間がかかりますが、手間はまったくかかりません。たっぷりの水の中に入れるだけ。

豆の種類によって浸す時間が違いますが、使いやすい白いんげん豆やうずら豆の場合、8時間から12時間です。朝、水に浸しておけば、夕方には柔らかくなっています。夜、寝る前に浸しておけば、翌日の朝には戻っています。

乾燥の豆でも、なるべく新しいものの方が、すぐに柔らかくなります。乾燥豆がたっぷり水分を吸いとったら、調理を始めます。

イタリアでは豆をオリーブオイルでゆでる

イタリアのトスカーナ地方には、ファジョリ・ネル・フィアスコという有名な郷土料理があります。直訳すると、「瓶の中の豆」。トスカーナの有名なワイン、キャンティが入っている周りをわらで包んだ丸っこい瓶でゆでた豆料理。

この昔ながらの豆の料理は、ゆでるといっても、暖炉の火を消した後の灰の中に一晩、豆の入った瓶を置いておくだけです。余熱がゆっくりと豆に伝わって、翌朝にはびっくりするほど柔らかく仕上がっているんです。

瓶のなかには、豆のほかにエキストラヴァージンオリーブオイルとセージ、にんにく、塩も一緒に入れておきます。

豆にオリーブオイル?と思われるかもしれませんが、油分を加えることによって、あくが抜けて豆が早くやわらかになるのです。オリーブオイルがあるからこそ、途中で茹でこぼしなどをして、あくを抜かなく必要もなく、ほったらかしで美味しくできるんです。

本当にイタリアの料理には、オリーブオイルが欠かせまないのです。

もちろん、今では普通のお鍋を使って茹でますが、オリーブオイルを一緒に加えるのは昔ながらのお約束です。

イタリア流豆の茹で方

乾燥豆 500g

ニンジン 1本

セロリ 1本 

タマネギ 1個

ハーブ (お好みでローリエやセージなど)

エキストラヴァージンオリーブオイル 大さじ1

塩 適量

【作り方】

1.豆をたっぷりの水に8~12時間つけておく。(豆の量の倍くらいの水)

2.漬けていた水を捨てて、サッと洗う。

3.鍋に豆と豆の倍の量、ニンジン、セロリ、タマネギ、ハーブ、エキストラヴァージンオリーブオイルを入れて、強火にかける。

4.沸騰したら弱火にして、柔らかくなるまで40分~1時間ゆっくり煮る。

5.豆が柔らかくなってから、塩、こしょうを加えて味を調える。

瓶ではなく普通の鍋でいいですが、厚手の鍋を使ってください。できれば土鍋がお勧めです。ゆっくり熱が全体に伝わるので、じっくり柔らかく煮えます。

もし時間を短縮したいのであれば圧力鍋が最適です。ぴーと鳴ってから、15分くらいで柔らかくなります。

茹でた豆は冷凍もできるので、一度にたくさん作って小分けして冷凍しておくと便利に使えます。

ゆでた豆のイタリア風の食べ方

柔らかくゆでたお豆は、そのままコントルノ(付け合わせの野菜料理)として食べたり、野菜と一緒にサラダとして食べることもできます。イタリアでは、お豆のサラダにはツナ缶も加えてボリュームのあるお料理として食べます。

寒い季節には、温かいお豆のスープとして重宝します。

イタリアで一番、人気のお豆のスープといえばミネストローネ。日本ではお豆が入らない野菜スープのこともミネストローネと呼ぶようですが、本場のミネストローネは、大きくごろっと切った野菜と豆、そしてパスタかお米も入ります。

それだけで一品になってしまうボリュームたっぷりの充実スープです。

<h3>イタリア本場のミネストローネレシピ</h3>

Beans soup 3

【材料】4人分

茹でた豆 1カップ

タマネギ 1個

ニンジン 1本

セロリ 1本

じゃがいも 1個

カリフラワー 1/4個

キャベツ 2枚

トマト水煮缶 1/4缶

ハーブ(月桂樹の葉、ローズマリーなどお好みで)

エキストラヴァージンオリーブオイル 大さじ3

塩 適量

パルミジャーノレジャーノチーズ 大さじ4杯

スパゲッティ 50g

【作り方】

1.野菜はすべて洗って、1cm角くらいに切る。

2.厚手の鍋に、オリーブオイル、ニンジン、セロリ、タマネギを入れて弱火で炒める。

3.野菜がしんなりしたら、そのほかの野菜も入れて火を通す。

4.ザク切りにした水煮缶のトマトとその汁も加え、弱火で10分くらい火を通す。

5.お豆のゆで汁を1カップと水3カップを入れる。ハーブ、塩も加える。

6.蓋をして、ゆっくり30分くらい弱火で煮る。

7.2~3cmの長さに折ったスパゲッティも加え、スパゲッティが柔らかくなったらできあがり。

パルミジャーノチーズ、コショウ、お好みで分量外のオリーブオイルも添えていただきます。

イタリアの農家の伝統的なミネストローネは、お豆や野菜からたっぷり出汁がでるので、ただのお水で煮ます。添加物も入っている市販のコンソメスープを使わないので、自然な野菜の味を堪能できます。

中に入る野菜は、カボチャや長ネギ、グリーンピース、ズッキーニなど、冷蔵庫にあるもので代用しても大丈夫です。量も家族の好みに合わせて、調節してください。

添加物が入らない植物性のスープは、胃にとてもやさしいので、小さなお子さんからお年寄りまで楽しめるスープです。風邪の予防にも最適です。

もし味の濃いスープがお好みなら、最初にパンチェッタ(イタリアの三枚肉のベーコン)や普通のベーコンを炒めて加えてください。

またパルミジャーノレジャーノを塊で買うと付いてくる皮の部分を、しっかりきれいに洗って一緒に煮ると、よいお出汁になります。煮ているうちに柔らかくなるので、皮まで美味しく食べられます。

寒い季節にピッタリのオリーブオイルを使った温かいお豆のスープのまとめ

イタリアでの簡単な豆の茹で方、ミネストローネスープの作り方をご紹介しました。エキストラヴァージンオリーブオイルを使ったイタリアの家庭料理が、本当に簡単なのがおわかりいただけたでしょうか。

時間がかかりますが、実際に作業をしている時間はほとんどありません。火にかけておくだけです。

ミネストローネスープの材料も、季節の新鮮な美味しい野菜ならなんでもOKです。適当に食べやすい大きさにザクザク切ってお鍋に入れるだけ。

豆を煮たりスープを作っているときは、寒い冬の台所でもポカポカと暖かく、いい匂いで包まれて温かい気分で過ごせます。

たっぷりの野菜と豆を一緒に食べることができる本物のミネストローネは、風邪の予防にもピッタリです。エキストラヴァージンオリーブオイルにも抗炎症効果や抗酸化効果もあります。アツアツのスープに、食べる直前、生のままたっぷりかけてお召し上がりください。

製品仕様

生産者パスクアーレ・ディ・レーナ
原産国イタリア モリーゼ州
品種ジェンティーレ・ディ・ラリーノ
※ラリーノ土着品種
抽出コールドプレス(27℃)
EU有機認証
輸送空輸
収穫時期9月下旬〜11月初旬
収穫方法手摘み
粉砕ハンマークラッシャー
輸入後品質管理オリーブオイル専用セラーで保管
インポートアントビー株式会社

製品仕様

内容量15g / 80g
全成分カリ含有石けん素地、オリーブ果実油、シリカ、ハチミツ、炭、グリセリン、水、エチドロン酸4Na
製造国日本

この記事を書いた人

鈴木奈保子

イタリアソムリエ協会認定オリーブオイルソムリエ鈴木奈保子

イタリアの食文化に魅かれ、2001年よりローマ在住。子育てを通じ、食の大切さを再認識し、現在は簡単で美味しいヘルシーな料理でアンチエイジングをテーマに、コラム執筆などを中心に情報発信中。